子育てが終わったとき「私には何もない」にならない。先輩ママに教わった5つの準備

子育てが終わったとき「私には何もない」にならない。先輩ママに教わった5つの準備 【ライフデザイン】

末の子が高校1年生になったとき、ふとこんなことを考えました。

「あと数年で、子育てが一段落する。そのとき、私はどうなるんだろう。」

特に何かあったわけではありません。 朝の弁当を作りながら、ぼんやりとそんな未来が頭をよぎったのです。

怖い、というほどでもない。 でも、「今から準備しておいた方がいいかもしれない」という感覚がありました。

それからしばらくして、先に子育てを終えた先輩ママたちに話を聞いたり、空の巣症候群について自分で調べたり、小さなことから試してみたりするようになりました。

この記事は、その過程で気づいたこと、教わったこと、やってみたことをまとめたものです。

まだ私自身も子育ての途中です。 でも、「今から歩み始めてよかった」と思えることがいくつかあって、同じように感じている方に伝えたくて、書きました。

エンプティネスト 先輩たちに聞いて、初めて知ったこと

子育てが終わった後に何を感じるか。 先輩たちに聞くまで、正直あまり想像できていませんでした。

「子どもが家を出た日の夜ね、鍵を開けて家に入ったら、ただいまって言えなかったの。声が出なくて。」

そう話してくれたのは、シングルマザーとして15年間子どもを育てた先輩でした。

誰もいない部屋。 返事のない廊下。 テーブルに1つだけのコップ。

「ただいま」が、誰にも届かない夜が来ること。 子育て中の自分には想像もしていなかった、と言っていました。

これはシングルマザーに限った話ではありません。

「子どもが大学生になってから、家を空けることが多くなって。夫のためだけに夕ご飯を作る気になれなくなったの。なんか違う、って感じで。子どもがいたから張り合いがあったんだって、そのときはじめて気づいた。」

結婚して20年の先輩は、そう教えてくれました。 夫のことが嫌いとか、悪い妻だとか、そういうことではない。 ただ、自分の中の何かが空白になっていた、というのです。

空の巣症候群(エンプティネスト)という言葉があります。 子どもが自立して家を離れた後、親が感じる強い空虚感や喪失感のこと。 主に40代〜50代の母親に多いと言われています。

「症候群」と呼ばれるのは、多くの人が「なぜ自分はこんなに空っぽなんだろう」と驚くから、と先輩は話していました。

子育てが終わった。 それは本来、喜ばしいことのはずなのに。

先輩たちの話を聞いて、気づいたことがあります。

問題は、子育てが終わった「その日」ではない。 その日に向かって、どんな自分を育ててきたか。 そこにある、ということです。

知らないうちに近づいていく「空っぽ」のルート

先輩たちから教えてもらったことと、自分で調べた内容をもとに、陥りやすいパターンを整理しました。 聞きながら「これ、今の私のことだ」と感じたものも多かったです。

パターン1:「落ち着いたら考えよう」の先延ばし

多くの先輩が口をそろえて言っていたのが、これです。

「子育てが終わったら、自分のやりたいことを考えようと思っていた。でも終わってみたら、何が好きかも分からなくなっていた。」

自分の欲求を知る力は、筋肉と同じで使わないと衰えていきます。 長い間使っていなかった筋肉が急に動かせないように、「自分の気持ちを知る力」も同じことが起きるそうです。

私自身、今この感覚があります。 「好きなことは?」と聞かれると、少し考え込んでしまう自分がいます。

パターン2:「〇〇ちゃんのお母さん」だけで完結している

学校行事、地域の集まり、子どもの習い事。 気づいたら、自分の名前ではなく、子どもを通じた関係だけが人間関係のすべてになっていた、という先輩が多かったです。

子どもが巣立つと、その関係も自然と薄くなっていきます。 「気づいたら、自分の名前で呼ばれる場所がどこにもなかった」という話は、笑い話のようで、じんわりと怖い話でした。

先輩は続けてこう言いました。

「子育て中って、自分を後回しにすることが当たり前になっていくでしょう。それ自体は悪いことじゃない。でも気づいたら、自分が何者かっていうのが、お母さん、だけになっていた。」

私も今、「〇〇ちゃんのお母さん」という役割に慣れすぎていると感じています。

パターン3:急いで「自分を取り戻そう」として空回りする

子育てが終わった後、慌てて習い事を探したり趣味を作ろうとしたりしたけれど続かなかった、という先輩もいました。

焦りから動くと、本当に好きかどうかを確かめる前に疲れてしまうようです。 「やっぱり私には何もない、という結論にまた戻ってしまった」という言葉が、特に印象に残っています。

だからこそ、今のうちから少しずつ、焦らず準備しておくことが大切なのだと思いました。

私が今から始めている、5つの準備

先輩たちのアドバイスと、自分で調べて実際にやってみたことをまとめました。

「正解かどうか」はまだ分かりません。 でも、「やっていてよかった」と今の自分が感じていることを、正直に書きます。

準備1:「子育て以外の自分」を言葉にする

最初に先輩から言われたのが、これでした。

「今すぐ紙に書いてみて。私は(   )が好きだ、って。」

やってみました。 出てこなかったのです。

ゆっくり考えて、ようやく出てきたのが「昔、読書が好きだったかもしれない」という曖昧なものでした。

「書けないことに気づいたことが、準備の始まりだよ。」

先輩の言葉は、そういう意味だったのだと、そのとき理解しました。

それ以来、過去の自分に遡るようにしています。 子どもが生まれる前、学生の頃、独身時代に好きだったこと。 やりかけのまま止まっていること。 そういうものを、ゆっくり思い出す時間を作るようにしました。

「好きなことが何も浮かばない」という方がいたら、それは普通のことだと思います。 長い間使っていなかった筋肉はすぐには動きません。 10年前、20年前まで遡ってみると、糸口が見つかりやすいです。

準備2:週に1回、「自分のためだけの時間」を確保する

30分だけ、子どものことも家族の予定も考えない時間を作ることを、先輩に勧められました。

最初は何をしていいか分からなくて、ただ近所を歩くだけで終わりました。 それでも歩きながら、「そういえば昔は音楽をよく聴いていたな」とか、「本屋に行きたいな」とか、ぼんやり思い浮かんでくるものがあったのです。

「子育て中は時間がなくて、自分のことを考える余裕がない」という感覚、私もよく分かります。 でも先輩に言われたのは、「余裕ができてから始めようとすると、そのタイミングは永遠に来ない」ということでした。

最初はチェックリストを眺めるだけでも、5分でも、十分だと思います。 「誰かのため」ではなく「自分のため」という意識で過ごす時間を、少しずつ積み重ねていくことが大切なのだと感じています。

準備3:「子育て後にやりたいことリスト」を今から育てる

「やりたいことリストを作ってみて」と言われたとき、正直「ないな」と思いました。

そこで先輩から教わった置き換えの問いが、こうです。

「お金も時間も体力も気力も無限にあったら、何をしたい?」

この問いだと、少し出てきました。 旅行、料理の勉強、昔好きだったバンドのライブに行く、など。

リストは完成品じゃなくていいそうです。 思いついたときに追記する、育てていくもの。

今もスマホのメモに書き続けています。 3年かけてゆっくり育てたリストは、子育てが終わったとき、地図になると先輩は言っていました。

「まだ子どもが巣立つまで時間があるから、もう少し後でもいいかな」と思う気持ちもよく分かります。 でも「準備する時間が5年ある」と「準備する時間が1年しかない」では、育てられるものの量がまったく違います。 今が一番早いタイミングなのだと、先輩たちの話を聞いて感じるようになりました。

準備4:「子育て以外のつながり」を少しずつ作る

子どもを介さず、自分の名前で会える人を1人でも作っておくことが大事、と複数の先輩から言われました。

深い友情でなくていいそうです。 オンラインコミュニティでも、習い事で同じ趣味を持つ人でも。

「〇〇ちゃんのお母さん」ではなく「(自分の名前)さん」として関わる場所を持っておくこと。

私は去年から、興味のあったオンラインの読書会に参加しています。 月に1回、1時間。 それだけですが、「自分の意見を、自分の名前で言える場所」があることが、思っていた以上に心地よかったです。

最初は「知らない人ばかりの場所に入っていくのが怖い」という気持ちがありました。 でも逆に言えば、子どもとも夫とも職場とも関係のない、まったく新しい「自分だけの場所」でもあります。 そこでは私は誰かのお母さんではなく、ただ本が好きな一人の人間として話せます。 その感覚を、子育て中の今のうちから知っておけてよかったと感じています。

準備5:今の自分をチェックリストで定期確認する

先輩に教わって、定期的に以下の5項目を確認するようにしています。

□ 子育て以外で「好きなこと」を3つ言える □ 子どもなしで会える友人が1人以上いる □ 「子育て後にやってみたいこと」が1つある □ 週に1度、自分だけのための時間がある □ 「私は〇〇が好きだ」と言える言葉がある

最初にやったとき、私は1つしか当てはまりませんでした。 今は3つです。

5つ全部当てはまる方は、土台ができています。あとは行動を重ねていくだけです。 3〜4つの方は良いペース。弱い項目だけ意識して補強しましょう。 1〜2つの方は、まず「準備1」の紙書きから今日始めてみてください。 0つだった方も、大丈夫です。私も最初そうでした。ここが出発点です。

状況によって、意識することが違う

シングルマザーの方へ

「ただいまが届かない夜」の話が、ずっと頭から離れません。

一人で帰宅する夜の空虚感は、準備なしに突然来ると想像以上につらいそうです。

先輩が教えてくれたのは、「今のうちから一人の時間を怖くない自分を育てておくこと」でした。 月に1回、一人で外食してみる。 一人旅の計画を立ててみる。 「一人でいることを味わう練習」を子育て中から意識してやっておくと、その夜がまったく違う意味を持つようになると言っていました。

一人の時間を楽しめる自分を、少しずつ育てておくこと。 それが、その夜を「孤独な夜」ではなく「自分の夜」にする準備なのだと思っています。

夫婦2人になる方へ

「夫のためだけに夕ご飯を作る気になれない」と話してくれた先輩に、その後どうなったかを聞きました。

「夫と一緒に料理教室に行くようになって、少し変わったかな。子どもがいたから話せていたことがたくさんあったって気づいたから、今は意識して夫婦の共通の話題を作るようにしてる。」

夫婦のことが嫌いになったわけでも、関係が悪化したわけでもなかった。 ただ、「子どもを中心にして成り立っていた生活」の設計が、見直しの時期を迎えていただけなのだと、先輩の話を聞いて感じました。

「夫と一緒に楽しめること」を今から1つ探しておくこと。 旅行でも、料理でも、なんでもいいそうです。 共通の話題を、子育て中から意識して作っておくことが、2人きりの生活をスムーズにする準備になります。

まとめ:今から歩み始めることが、一番の準備

先輩たちは口をそろえて言います。

空っぽになるかどうかは、子育てが終わってから決まるのではない、と。 子育て中に「自分」をどれだけ育ててきたかで決まる、と。

私はまだ途中です。 チェックリストも全部は揃っていません。 完璧な準備なんて、できていません。

それでも、「今から歩み始めてよかった」と感じています。

今日から始められることの要点は、3つです。

  • 「私は〇〇が好きだ」を言葉にする習慣を持つ
  • 週に1回、自分のためだけの時間を作る
  • 子育て以外のつながりを1つ持つ

今日やること:紙に「私は(   )が好きだ」と書いてみてください。

書けない自分に気づいたなら、それが一番の準備の始まりです。 私も、そこからスタートしました。

一緒に、歩み始めましょう。

 

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